10月, 2020年

コロナ対応休暇助成の期間延長

2020-10-18

妊娠中の女性労働者の安全措置を

新型コロナウィルス感染症に関する母性健康管理措置として、休業が必要とされた妊娠中の女性労働者のために、有給の休暇制度を設けて取得させる事業主を助成する制度があります。この制度の運用期間が、一部延長されることとなりました。

延長となるのは、「事業主が対象となる有給の休暇制度を整備し、労働者に周知する期限」で、令和2年9月末までとなっていたのが同年12月末までとなります。

この制度は、正規雇用・非正規雇用を問わず、妊娠中の女性労働者について、年次有給休暇以外に休暇制度を整備し、実際に取得した場合に助成されるものです。具体的には、以下の措置をとった事業主が対象となります。

 

①新型コロナウィルス感染症に関する母性健康管理措置として、医師又は助産師の指導により休業が必要とされた妊娠中の女性労働者が取得できる有給の休暇制度(年次有給休暇を除き、年次有給休暇の賃金相当額の6割以上が支払われるものに限る)を整備し、

②当該有給休暇制度の内容を新型コロナウィルス感染症に関する母性健康管理措置の内容とあわせて労働者に周知し、

③当該休暇を合計して5日以上取得させる。

 

この①と②についての期限が、同年12月末までに延長となります(③の休暇の取得期限については、令和3年1月末までで変更ありません)。

 

助成金の内容と申請手続き

助成金申請期間は、令和2年6月15日~令和3年2月28日です。

助成内容は、有給休暇計5日以上20日未満で25万円、以降20日ごとに15万円が加算され、上限額は100万円です。1事業所あたり20人までが対象となります。(→https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000639253.pdf

制度内容を就業規則に規定することは要件とはなっていませんので、まずは12月末までに制度を整備し、周知を行いましょう。

令和2年度地域別最低賃金

2020-10-18

改定目安は示されず各地方審議会で決定

令和2年度地域別最低賃金

令和2年度地域別最低賃金改定額は中央最低賃金審議会で賃上げ額が目安は公表されず、下記のような答申にとどまりました。

「令和2年度の地域別最低賃金額は新型コロナウィルス感染症拡大による現下の経済・雇用への影響等を踏まえ引き上げの目安を示すことは困難であり、現行水準を維持することが適当」とされ、各地方最低賃金審議会に一任されました。

それを受け各地の審議会で、小幅な改定又は据え置きで10月からの最低賃金額が決定されました。

月給の場合の最低賃金額の算出方法

月給の場合は年間の休日数を出して年間の労働日数を確定させます。例えば土日や祝日、夏季休業、年末年始の休日合計が125

日の場合、365-125日=240日が年間の労働日数です。1か月の平均労働日数は240÷12か月=20日となります。1日8時間勤務なら1か月の平均労働時間は20日×8時間=160時間となります。月給を160時間で割り算すれば時間単価が出ます。同じ月給額でも事業所の所在地が東京都の場合は単価が高いので最賃割れで違法でも、地方では大丈夫というケースがあるわけです。

令和2年度の改定額は以下の通りです。

据え置き

東京 1013円 大阪964円 京都909円  静岡 885 円  広島 871円 山口 829円

北海道 861円

1円改定

宮城  825円  栃木854円  神奈川1012円

新潟 831円 富山 849円  石川 833円

福井 830円 山梨 838円  長野 849円

岐阜 852円 愛知 927円   三重 874円

兵庫 900円 奈良 838円  和歌山831円

岡山 834円 福岡 842円

2円改定

秋田 792円 福島  800円 茨城 851円

群馬 837円  埼玉 928円   千葉 925円

滋賀  868円   鳥取 792円  島根 792円

香川 820円  高知 792円  佐賀 792円

大分 792円  沖縄 792円

3円改定

青森 793円   岩手793円  山形793円

愛媛 793円  徳島796円  長崎793円  熊本 793円 宮崎 793円   鹿児島 793円

海外大学新卒者のビザ申請と注意点

2020-10-07

留学生の就労ビザ変更は12月から

4月に外国人留学生の入社が控えている場合、就職のために必要な、いわゆる「就労ビザ」への変更申請は、例年12月から受付が開始します。本来、外国人労働者が就労ビザを得るためには、ほとんどの場合で「大学等を卒業していること」が求められますが、4月入社の新卒留学生が卒業するのは一般的に前月の3月。ビザの変更申請に関する審査は、個々の案件にもよりますが、完了まで1〜3か月ほどかかります。卒業が確定した3月から変更申請をするのでは、4月の入社に間に合わないため、日本の大学等に在学している留学生については特例的に「卒業見込み」の状態で審査を行い、卒業が確定した3月以降、卒業証明書等の提示をもって正式にビザを許可する流れになっています。

海外の大学・短期大学にいる新卒者は?

では、海外の大学に在学している外国人学生を新卒採用した場合、「卒業見込み」の状態で就労ビザを申請することはできるのでしょうか?

残念ながら、原則的に「卒業見込み」の状態で受付されるのは日本にいる留学生に対する措置。管轄の出入国在留管理局(以下、入管)によって若干扱いが異なるため、一部の入管では卒業前に申請を受け付け、卒業証明書の写しは後日の追加提出で可としてくれるところもあるようですが、海外大学等の新卒者については、基本的に卒業証明書や学位証明書等が発行されるのを待って就労ビザを申請することになります。

できる限り早めの対応を

もし、その内定者が現在在学しているのが大学院であって、すでに大学や短期大学は卒業して学位を持っているというケースの場合は、すでに卒業した大学の卒業証明書等で就労ビザの申請ができる可能性があります。

現在在学している大学等を卒業しないと学位を得られず、管轄の入管も卒業証明書がなければ申請の受付を行わないという場合は、やはり卒業後に就労ビザの申請を行います。先述のとおり、就労ビザの審査には1〜3か月ほどかかりますので、4月の入社に間に合わないこともあります。できる限りの対策としては、卒業証明書以外の必要書類は前もって用意し、卒業後すぐに申請できるように準備をしておきましょう。

非定型職務の昇給方法

2020-10-07

役割貢献度賃金制度において、非定型職務では、等級別重複型範囲職務(職能)給の賃金体系を活用しますが、ここでは、その昇給方法(メリット昇給)について解説します。メリット昇給とは、貢献度評価に応じて昇給する方法を言います。
各扱内の昇給方法
各級内の昇給ポイントは次の通りです。
①各扱の範囲給を20~40段階の「号給」で区分する。
②中間点を標準額とし、下限額から中間点まで速いスピードで昇号させ、なるべく速く到達させる。(例えば、標準B評価で5号の昇号・3年で中間点到達)
③中間点から上限額までは、より遅いスピードで昇給させる。(例えば、標準B評価3号の昇号・6年で上限額に到達)
級間の昇給・降給方法
“高い(または低い)貢献度評価”を積み重ねた結果で、次のように、昇格昇給、または降格降給します。たとえば、
①中間点以上で「2年連続してA以上の評価を受けた場合」は昇格昇給する。
②中間点以上で、「2年連続してC以下の評価を受け、中間点以下となった場合」は降格降給する。

中間点

[級内昇給スピード]1号当り昇給額(ピッチ)と評価別昇号・降号基準(例)
号 号間ピッチ・千円 評価別昇号・降号
S A B C D
1~15 2.5 8 6 5 4 2
16~34 2.0 6 4 3 -1 -3
経営者・人事担当管理者の留意点
上記で例示した基準は原則的な考え方によるものです。自社で適用した場合をシミュレーショナルに検証し、また実施に伴う評価の納得性確保対策を講じて、各社ごとに適切なデフォルメを行い、実現させて頂きたいと思います。

進む働き方改革 制度導入のポイントは

2020-10-02

多様な働き方ができる時代に

時間や場所にとらわれない柔軟な働き方ができるテレワークや、総勤務時間を変えずにラッシュアワーを避けて通勤をする時差出勤、社員が自由に出勤・退勤時間を決められるフレックスタイム制の導入など、新しい働き方が広がってきました。

これらは、近年政府が推し進めてきた働き方改革の一環として、労働生産性の向上や長時間労働の是正を目標に、大手企業を中心に浸透してきていましたが、昨今の新型コロナウイルスの影響により、より多くの企業でこれまでの働き方を大幅に見直す事態となり、急速に導入が進んでいます。

利点も多いが、気になる部分も

例えば、会社に出社せずに自宅や外勤先、サテライトオフィス等からインターネットを通じて、会社のサーバーにあるファイルにアクセスしたり、仕事の電話に対応したりできるテレワーク。

営業で外回りの後、事務仕事をしに会社に戻る必要がなくなったり、育児や介護を担う労働者が在宅勤務をすることで通勤時間を有効に活用できたりするなど時間にゆとりを持たせた勤務を実現できます。

その一方で、社員同士のコミュニケーション不足や、仕事と仕事以外のメリハリをつけにくい、長時間労働になりやすい、勤務時間管理や在席確認が難しい、情報漏洩のリスクが上がる等の、気になる部分もあります。

時差出勤やフレックスタイム制においても、勤務開始や終了時刻を調整することで、私生活との両立がしやすくなるという利点があるのですが、一方で取引先や他部署との連携業務において時間の設定が難しいことや、急な会議や電話に応対できない等、社員が異なる時間に勤務することによるデメリットもあります。

企業側が注意すること

大切なことは、制度に関する就業規則を整備し、適用する社員の範囲を明確に定め、勤務時間管理をしっかり行うことです。

勤怠システムを活用するのも良いでしょう。過重労働や反対にルーズな勤務状況とならないよう、社員本人の時間管理意識も大切です。ワークライフバランスを意識した、働きやすい環境作りをしたいですね。

起業時の法人銀行口座開設のハードルと事前準備

2020-10-02

年々高くなる法人銀行口座開設のハードル

警察庁の発表では、令和元年の特殊詐欺の認知件数は16,851件(-993件、-5.6%)、被害額は315.8億円(-67.0億円、-17.5%)で、前年に引き続き認知件数、被害額ともに減少しているが、依然として高い水準の被害が発生していることから、深刻な情勢です。こうした特殊詐欺に実体のない法人銀行口座が使われることが多いことから、銀行での法人口座開設のハードル(=準備すべき書類、事業実態の実在性など)は年々高くなっています。

起業時に法人口座開設で躓かないために

口座開設ができなければ、顧客や取引先から「銀行から認められていない存在」との烙印が押され、事業は立ち行きません。

法人の設立(=会社を作ること)も暴力団対策法等で株式会社の定款認証が厳しくなってきていますが、さらに会社と事業の実在性を示さなければならないのが口座開設時です。銀行により審査基準は違いますが、次のような準備をしておくことで法人口座開設を乗り切ることができます。

(1)資本金はある程度必要

資本金は1円から会社設立ができますが少な過ぎると事業実態がないとみなされます。事業遂行可能な金額が必要です。

(2)事業実態のある場所が必要

繁華街の住所表示目的でバーチャルオフィスを本店にすると、実在性なしとされる可能性が高くなります。銀行から訪問調査されても対応できる場所が求められます。

(3)事業実態説明の事業計画書を準備

事業実態の実在性を示すために、締結済みの顧客との売買契約書(=複数が望ましい)などを示すことができればベターです。まだそうした証拠を示すことができない場合には、少なくとも、銀行に実現可能性を納得してもらえるだけの事業計画書を準備しておきましょう。

(注)他に登記簿謄本原本等が各種必要。

法人の所有者が外国法人の場合

法人の株主が非居住者(=外国法人・国外在住者)の場合には、提出書類が増えます。親会社の上にさらに親会社がある場合などには、実質的支配者の本人確認資料(=パスポートの写し、公的機関発行の会社登記・居住者証明書など)も必要となります。

なお、2016年10月に政府が対日直接投資推進目的に金融庁経由で3メガバンクに態勢整備を要請し窓口はできていますが、審査体制(必要書類)に優遇はありません。

グッドキャリア企業アワード2020

2020-10-02

従業員の自律的なキャリア形成支援を
 厚生労働省は、「グッドキャリア企業アワード2020」への応募受付を開始しました(応募受付期間は2020/9/1~10/9)。
 この賞は、従業員のキャリア支援の取組を推進している企業等を表彰し、その理念や取組内容、具体的な効果等を社会に広め、定着を期すことを目的としたものです。
 具体的な「グッドキャリア」の在り方は各企業の経営理念などに応じて多様に設定されうるものですが、その実現に向けて、従業員がキャリアビジョンについて考える機会の設定や、人事・教育訓練制度の充実などを積極的に推進している企業を「グッドキャリア企業」としています。(公式サイト「2019アワード概要」より)
「キャリア支援」の内容については、次の3つの観点から評価されます。
①「キャリア支援の特徴、理念」
 自社におけるキャリア支援の特徴の理解度、人事管理上の課題や人材育成ビジョン・企業ビジョンとの有機的な関連性
②「キャリア支援の取組」
 キャリア形成について考える機会、キャリア形成に資する職業能力開発・自己啓発の機会や職業能力評価の仕組みの有無、それらが定着しているか 等
③「キャリア支援による効果等」
 具体的な効果、経営・人事管理上の課題の解決につながっているか 等
 これらの観点から、「大賞」と「イノベーション賞」が決定されます。

受賞企業の取組事例
 応募を受け付けている公式サイト「グッドキャリアプロジェクト」(https://career-award.mhlw.go.jp/)では、過去の受賞企業の取組が紹介されています。
たとえば、従業員45人の建設業の企業では、外部教育機関や取引先との連携による能力開発を実施し、経営幹部と従業員がキャリア目標を考えるための面談を行うなどの取組を進め、生産性や技能の向上による顧客満足度の向上、自主性をもつ従業員の増加などの効果が報告されています。
いまはまだ準備が整っていなくても、今後の取組のために、一度サイトをご覧になってみてはいかがでしょうか。